2018年12月宿泊例会のお知らせ

■テーマ/「地域の歴史と今」を伝えるとは-瀬戸内の島で考える

■日 時/2018年12月1日(土)~2日(日)

■見学先/豊島こころの資料館、豊島産業廃棄物不法投棄現場(香川県小豆郡土庄町)、国立療養所大島青松園(香川県高松市)

■内 容/
 9月の熊本県水俣市に続き、今年度2回目となる宿泊例会では、瀬戸内海に浮かぶふたつの島にある、日本の一般的な公立博物館とは生まれも育ちも異なる施設を見学します。
 一日目の豊島は、国内最大級の産業廃棄物不法投棄事件が発生した島です。産廃の不法投棄は島の人々と自然に対して甚大な健康被害と環境汚染をもたらし、公害調停を経て産廃の撤去搬出が行われ、廃棄物処理法の抜本改正など社会に大きな影響を与えました。豊島こころの資料館(2002年6月開館)は、不法投棄業者が作業員の休憩所及び事務所として使用していた施設をそのまま活用し、住民手づくりの資料館として日常生活の場で惹起した不法投棄をめぐる住民の意思と行動を紹介している施設です。今回は、豊島の3自治会で構成され産廃の無害化撤去運動に取り組む「廃棄物対策豊島住民会議」のメンバーに、資料館や不法投棄現場をご案内いただきます。
 二日目の大島は、ハンセン病療養所の島です。全国に13ある国立ハンセン病療養所のひとつ、国立療養所・大島青松園は、1909年に「第4区療養所」として開設以来、百年以上にわたって入所者の生活の場となってきました。園では、島の歴史の伝承と交流・定住の促進を目的に、入所者と来園者の交流拠点「社会交流会館」を整備中で、既に完成した管理棟のほか、来年4月オープンに向けて展示施設の準備が進められています。今回は、担当学芸員にご案内いただき、社会交流会館と島の歴史を物語る園内施設を辿ります。
 両島とも、瀬戸内国際芸術祭により「アートの島」として脚光を浴びている一方で、豊島では現在も新たな廃棄物が発見されるなど不法投棄問題は未解決であり、大島では入所者の高齢化や減少等により、入所者の思いや行動、場の継承が大きな課題となっています。
 本例会では、特徴のある2つの施設の見学と現場のフィールドワークなどを通じて、地域にある博物館とはどうあるべきなのか改めて考えたいと思います。

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2018年9月宿泊例会のお知らせ

「公害地域の歴史と今」を伝えるとは-水俣で考える

■日時/2018年9月1日(土)~9月2日(日)

■内容/
 博物館問題研究会では、これまで富山県の清流会館、新潟県の新潟水俣病資料館や笹神地区郷土資料館など、公害に関する資料収集や展示を行っている施設を見学例会で訪れてきました。今回は、昨年の四日市公害に続いて、水俣病を取り上げます。
 水俣市立水俣病資料館は、公害の原点といわれる水俣病に関する資料を後世に保管・展示するため、1993年1月に開館しました。積極的に語り部活動を展開し、公害・環境学習だけでなく人権教育の場としても活用されてきましたが、語り部の高齢化に伴い、9月から新たに「伝え手」制度を導入するなど、継承への模索を続けています。
 また、水俣病歴史考証館は、一般財団法人水俣病センター相思社が運営する施設で、患者支援のためのキノコ工場だった建物を転用して1988年に開館し、不知火海の自然と暮らし、水俣病の被害や患者の闘い、チッソ・行政による加害行為などを記録し展示しています。施設の老朽化対応や資料保存のため、開館30周年記念改修プロジェクトとしてクラウドファンディングで資金を募り、9月末にはリニューアル開館する予定です。
 本例会では、継承への模索を続ける水俣病資料館やリニューアル前の水俣病歴史考証館の見学、水俣市内のフィールドワークなどをとおして、「公害地域の歴史と今」を辿り、公害問題の記録や記憶の保存・継承、公害資料館という「場」や展示表現のあり方について考えたいと思います。

■スケジュール(予定)/
9月1日(土)12:10  JR新水俣駅新幹線改札口集合
 水俣市立水俣病資料館見学、水俣市内フィールドワーク(百間排水口など)
9月2日(日)水俣病歴史考証館見学(概要説明・展示解説)
 13:00 JR新水俣駅で解散予定

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2018年7月緊急例会のお知らせ

「博物館をめぐる政策の動向を考える」

■日 時/2018年7月16日(月・祝) 18:30~20:30

■会 場/文京区男女平等センター  研修室C
(文京区本郷4-8-3 03-3814-6159 東京メトロ丸の内線、都営大江戸線 本郷三丁目下車徒歩5分)

■内 容/
 中教審答申で検討されている公立社会教育施設の首長部局移管を受けて、日本社会教育学会が「公立社会教育施設の教育委員会所管堅持に関する要望書」を文部科学省に提出しました。全国美術館会議でも、美術市場の活性化と美術館・博物館を関連させようとしている動向に呼応して、「美術館はすべての人々に開かれた非営利の社会教育機関である」との見解を含む「美術館と美術市場との関係について」(声明)を公表しました。この他にも、文部科学省設置法や文化財保護法の改正など博物館をめぐる政策は大きく変動しています。
 当会に対して、日本社会教育学会から要望書への賛同、意見を求められたことから、学習会を行ったうえで回答することにしました。特に講師は立てず、参加者の話題提供により議論を深めます。みなさまの積極的なご参加をお待ちしております。

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