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2005年5月例会のご案内

博物館の存在意義を再検証するⅢ(その2)
墨田区「産業・教育資料室きねがわ」に学ぶ

■日 時/2005年5月21日(土) 14時00分~16時30分(予定)

■会 場/墨田区「産業・教育資料室きねがわ」
(旧墨田区立木下川小学校:墨田区東墨田2丁目15番地)

■講 師/岩田明夫先生(墨田区立堤小学校教諭)

■報告案内/
 「産業・教育資料室きねがわ」は、学校統合のため廃校となった木下川小学校の一室に2004年10月20日にオープンしました。
 展示室には、皮革生産に使われた道具・機械や製品、皮なめし作業の体験学習を行った子供の感想文など、ところ狭しと展示されていて、その質・量には本当に圧倒されます。
 東京の皮革産業は、台東・荒川・足立・墨田・葛飾など、いわゆる江東六区に集中しています。とくに木下川、荒川の三河島と並び称される皮鞣工場の密集地区で、日本の近現代(20世紀)を下支えした人びとの「くらし」と「しごと」がありました。最盛期には100社以上の工場が存在、現在なお国内豚皮生産高の7割近くを占める木下川は、全国でも屈指の皮革産業の街と言えるのです。
 他方で、皮革作りが被差別部落の伝統産業であるためでしょう。木下川のあゆみとは、そこにくらす人びとにとって、いわれなき差別との闘いの歴史でもありました(東京部落解放研究編集委員会1979、川元・藤沢1984、「荒川部落史」調査会編1999)。木下川に生まれ育った子供たちも、差別にさらされながら生きる、厳しい現実とつねに対峙してきたのです。
 「産業・教育資料室きねがわ」は、そのような木下川の歴史・伝統産業や木下川小学校で行われてきた優れた同和教育実践の歩みを、木下川の人びと、とくに子供たちに知ってもらい、地元に誇りをもってもらいたいと願う教員・地域住民らの協働作業によって創られました。まさに手作りの地域博物館、そして人権博物館なのです。ですから木下川の「外」から「資料室」を訪問する私たちには、その願いをどう受け止めるのかが、まず問われることになるでしょう。
 博物館づくりの中心メンバーとして活動しているのが、今回講師をお願いした岩田明夫さんです。岩田さんは、1973年に墨田区立木下川小学校に赴任して以来、一貫して木下川地区における地域学習・同和教育(人権教育)を実践し続けてきました。
 その成果は一連の論文・研究報告に示されています(岩田1993・2003、東京都同和教育研究協議会編2003など)。地域と子供たちに注がれる暖かい眼差しが行間からあふれ、読み手の心をとらえて離しません。「資料室」開設の前提がそこに見事に表現されています。足かけ30年に及ぶ木下川地区における先生方の努力、地域の人びととの交流がなければ「資料室」のオープンもありえないことでした(同様の優れた木下川地区での教育実践レポートとして雁部2001・2005もある)。「資料室」の展示物の一つ一つが、そのような地道な実践成果として並べられているのです。
 「産業・教育資料室きねがわ」が発信するメッセージは、あるべき教育とは何か、教育者は誰と寄り添うべきなのか、尊重されるべき人権とは何か、博物館づくりとはいかなるプロセスをもつべきなのか、ひいては博物館の存在意義とは何なのか・・、小手先の展示技術論や現状追認のマネージメント論などを遠くに吹き飛ばし、物事の本質について深く、そして正しく考えることを、私たちに要請しているように思えます。
 例会では、岩田さんの案内で展示室を見学し、その後、博物館づくりに関する様々なお話を聞かせていただく予定です。案内人として、一人でも多くの会員が例会に参加することをお待ちしております。もちろん非会員の方も歓迎いたします。またこの機会をきっかけに「部落史」や同和教育(人権教育)に関心をもたれる博物館・美術館プロパーが増えることを密かに期待しています。

■参考文献/
 東京部落解放研究編集委員会1979「<特集>東京の被差別部落の歴史と現状」 『東京部落解放研究』19号
 川元祥一・藤沢靖介1984『実態・歴史・現状 東京の被差別部落』三一書房
 岩田明夫1993「木下川の子どもたち-地域を愛し、誇りに思う」 『東日本の被差別部落-現状と課題-』明石書店
「荒川部落史」調査会編1999『荒川の部落史』現代企画社
雁部桂子2001「地域に開かれた授業づくり-墨田区・木下小学校から」『まちづくりと総合学習』東京学芸大学教育実践総合センター編
岩田明夫2003「講演 子ども・地域・教育実践 木下川を中心に」『明日を拓く』48 東日本部落解放研究所編 解放書店
東京都同和教育研究協議会編2003『つくって学ぶ人権総合学習 被差別部落の仕事に学ぶ』明石書店
 雁部桂子2005「東京の同和教育の課題と可能性」『教育実践アーカイブズ02 特集 教育の現代的課題と可能性』東京学芸大学教育実践アーカイブズプロジェクト

■参加費/無 料(但し資料代200円程度を予定しています)

■定 員/30名(会場の都合で申込み先着30名定員とします)

■申込み/5月15日(日)までに、e-mailで、「例会参加希望」「お名前」「所属(勤務先・所属校など)」「連絡先(メールアドレス・ファックス・電話番号・住所など)「会員・非会員の別」を明記のうえ事務局あてお申込みください。
■集合場所/当日13時40分に京成押上線・八広駅改札口集合。案内人が会場(「資料室きねがわ」)まで引率します。

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