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「新しい時代の博物館制度の在り方について」(中間まとめ)に対する意見

文部科学省で「「新しい時代の博物館制度の在り方について」(中間報告)に関する意見募集の実施について」とするパブリックコメントの募集がありました(2007年4月23日締切済み)。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000255&OBJCD=&GROUP=

本会としての意見を集約するには検討時間が不足したため、運営委員会として意見を提出いたしました。6月上旬にも最終報告をまとめるとの記事が一部メディアで報じられましたので、この発表前に提出した意見を公開します。
会員におかれましては、上記の理由により博問研ニュースの発行よりもWebでの公開を先行させたことをご了解ください。

提出意見
(フォーマットは文部科学省指定にしたがっています。)

第1章 博物館をめぐる昨今の動向
 私立博物館に関する公益法人改革以外の博物館が解決すべき問題と、法対象外施設の増加等の博物館法上の問題との関連の有無、過去の経緯を明示すべきである。
 日本博物館会議と日本学術会議で博物館法や学芸員制度の改正、高度化が求められている理由を明示して、それに対する批判的検討を行うべきである。

第2章 博物館とは
1 博物館の目的-求められる役割-
 特になし

2 博物館法上の博物館の定義の在り方
  博物館の機能的な定義を現行法以上に拡大する必要はない。
 検討課題となっている二例については、文化財保護法、国立公園法等により自然、歴史資源を対象とした法令があるなかで、「一定のエリア」のみを博物館として法的に認める必要性は認められない。また、活動の核となる「資料」を所蔵しない施設を博物館と定義することは、本来的な存在意義を否定するものである。

第3章 現行制度の問題点
1 現行制度の問題点
 公立博物館で登録制度が利用されない理由として財政的インセンティブのみを問題としているが、博物館の自由、住民の教育機会の保障といった教育基本法の下での公的責務に対する法の趣旨が行政的、社会的に認識されてこなかったことを問題とすべきである。
2 博物館登録制度改善の方向性
 公立博物館においては「新しい博物館登録制度のメリット例」に掲げられたメリットでは、博物館行政主体が積極的に登録する動機には成り得ないと思われる。特に博物館のメリットとして「設置者への予算や人員確保要求に根拠が得られる」制度であれば、行財政改革を進める行政主体においては逆に障害として認識される恐れがある。したがって、公立博物館において、博物館登録制度が「博物館としての最低基準を満たしているかどうか確認する制度」であるならば、公立博物館の登録を義務づけ、設置者である行政主体にとってもメリットのある法制度にする方向性を持つべきである。
 また、登録制度に外形的な審査以上の要件が課されることとなっているが、先行するISO9001、14001では、継続審査の煩雑さ、認証の形式化、費用対効果の低さ等により敬遠される事例が見られる。中小規模を含めた広範な博物館を対象とするのであれば、以前の「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」のような外形的な基準を設け、簡便かつ実質的に判断できる方式のほうが適切である。
(外形的な基準の具体的な内容については別に議論すべきである。)

第4章 学芸員制度の在り方について
1  現行制度の問題点
 大学での養成科目での取得について、資料の専門分野に関する科目が科されていないことにより、実務において博物館学と両輪となる専門領域について軽視されていること、また、大学及び博物館でのコンセンサスがないことによる短期間の博物館実習の内容、効果にばらつきと負担感があるまま、資格が認定されている点について指摘されたい。
2 学芸員制度の見直し
 上記1をふまえ、学芸員資格もしくは「基礎資格」取得の際に、大学での養成科目、実務経験の業務内容等を考慮して、学問領域等の名称を付与するべきである。修士課程を博物館学中心の養成期間とすることに眼目が置かれているが、博物館学の専門課程とともに、各専門分野での研究能力等の深化に対する視点が不可欠ではないか。
  学芸員の取得要件として「一定の実務経験」を課すのであれば、大学での養成科目での取得における博物館実習を廃して、真に資格の取得を希望する者に対して長期のインターン期間を保障する人材的、財政的システムを整備することで足りるのではないか。また、博物館学専門課程等を専攻する大学院修士修了者に対して、同様の実務経験が課されない理由が明らかでないので検討されたい。
 学芸員の資質向上のため、所要の研修等を実施することは必要であるが、上位資格を証明する必要性や、制度による奨励的効果が明らかではない。学芸員としての活動履歴等により社会的評価を得ること以上の効果が認められるか疑問である。

第5章 博物館運営に関する諸問題について
1 指定管理者制度等について
 博物館資料やそれに伴う情報、暗黙知及び館園外とのネットワークが公的団体との経営時に比較して蓄積しがたく、専門職員の雇用の不安定化をも招き、ひいては社会教育機関、学術機関として博物館が本来的に持っている機能を著しく低下させる制度である。
 博物館に対して指定管理者制度の導入を認める文部科学省見解を廃止させて、公立博物館については、旧地方自治法に準じて直営もしくは公的団体による運営とするように法令で定めるべきである。

2 公立博物館の原則無料規定の扱いについて
  国立博物館が国によるノルマを理由として観覧料を値上げしているが、こうした博物館の本来活動とまったく異なる要因を「やむを得ない事情のある場合」とすることを認めない法令にするべきである。

3 博物館を支える多様な人材の養成・確保
 「民間資格の奨励」、「新たな博物館関係資格」と「基礎資格」「学芸員資格」との関係が明らかでなく、複線的な資格の付与をもって学芸員の人材の確保、向上を図る方法に拠る必要はないと思われる。特に、公立博物館の常勤職員の削減等に理由を与える恐れがあるような資格付与制度の導入には慎重であるべきである。 

4 博物館倫理について
 特になし

以上

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